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DIGIMAT-MF 均質化手法『等価介在法』の概要  

均質化手法の原点である『等価介在物法』は、Eshelbyの著名な研究(1956〜1962年)により開発されました。この理論をもとに森・田中は、複合材のマクロな平均特性(巨視的な平均弾性テンソル:均質化)を得る手法(M-Tモデル)を導き、弾塑性領域まで拡張しました。
DIGIMAT‐MFは、これらの手法をベースに様々な非線形材料モデルの追加や、損傷までも含めた機能アップおよび数値解析精度技術の向上を図って来ています。
ここでは、等価介在法とマクロな平均特性を導く基礎的な理論の概要をご紹介します。

DIGIMAT-MF 均質化手法『等価介在法』の概要

等価介在物理論とは複合材料のフィラーなどの不均質物性特性を有する領域を、母材と同じ弾性特性を持ち、内部に固有ひずみ(Eigen-strain)を有する領域に置き換え、等価な応力状態を考えることで、平均的な物性値を算出する手法です。
ここで、固有ひずみ場とひずみの擾乱成分を関連付けるため、ひずみ場が一様場と擾乱成分が、加算分解されるものとし、Eshelbyのテンソルが定義されています。

1) Eshelbyが発見したこと
無限体の母材の中に、少なくとも一個の楕円形状の介在物(不均質物質、インクルージョンとも呼称)が存在しており、
その混合物体に無限遠方点で一定の応力が負荷されている場合、「この介在物内の歪みは、一様である」事を見出しました。

2) 「固有ひずみ」とは
固有ひずみは、周囲に拘束がない場合、内部に応力を伴わない変形(熱ひずみ、塑性変形等によるひずみ)と定義されています。

3) 介在物中のEshelbyテンソル
上記の介在物の一様ひずみをEshelbyテンソルと固有ひずみとで結びつけます。

ここにS(X)はEshelbyテンソル、ε*は固有ひずみと呼ばれており、介在物の形状とポアソン比に依存
しています。(このテンソルの導入は割愛します。)
この介在物が楕円体(または、球体)の場合には解析的取り扱いが極めて容易となります。 
以下に楕円体および球体の具体的なEshelbyのテンソルを示します。

Eshelbyテンソル
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4) 等価介在物理論の概念図
これまでに定義した固有ひずみを母材の中に組み込む等価介在物理論の概念図を示します。

等価介在物理論の概念図
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5) 等介在物法の定式化
上図の等価介在物の概念図を具体的に式に表しますと以下のようになります(マトリックス表示)。

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このように介在物を母材物質に置き換え、これに適切な固有ひずみを見つけることに帰着します。

6) 介在物の固有ひずみおよび局所応力―ひずみ場の導出
導出過程は省きますが、下記に固有ひずみの具体的な表現と、介在物周りの応力とひずみの関係式の具体的表現を記します。

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ここで、最初に設定したモデル「介在物が含まれた場合と等価な内部応力を与えるような固有ひずみを母材に与え、それと介在物とを置き換えて複合材の応力状態を再現する」が式で導かれたことになります。
ただし、ここで求めた応力‐ひずみの関係は、一個の介在物内部の応力やひずみに対してのものです。

複合材のバルクとしての平均化、巨視的等価弾性係数の導出

ここでは、母材に同質の介在物が混合ざれる2相問題の平均化特性の導出を考えます。

1) 複合材の平均化物性を導くための定式化
複合材(母材に多くの介在物が含まれている場合)に発生する平均ひずみ場に対して、母材に介在物を一個だけ加えてみると、

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と表現できます。
ここで、〈γ〉Iは乱されたひずみを表します。このひずみは、等価介在物理論と同様に介在物内部のEshelbyテンソルで表現できます。

補)

母材と介在物間のお互いの干渉は、一つの介在物のみを持つ無限大領域中にある状態と近似します。これは、田中・森近似の基本的仮定です。
一つの不均質材が、「ひずみが近似的に<e>Mであるマトリックスのある一部」の中に付加されたと仮定します。
非常に多くの不均質材が存在することより、唯一一つの不均質材のこのような付加は殆ど任意の全体的な力学的性質(characteristics)に影響を及ぼしません。その際に、この不均質材のひずみ場は、近似的に、<e>M のひずみ場を持つ無限領域内の一つのインクルージョンの場によって近似化できると言えます。


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上式により、母材の中に、f%の介在物が含有された平均弾性テンソルが求まります。
ここで、楕円体が含有された場合には、非等方な弾性テンソルとなることに留意してください。
参考に本方式を使用した感度解析結果を以下に示します。

DIGIMAT‐MFの均質化機能

DIGIMATでは、上記の森‐田中モデル(M-T model)の他に、介在物の含有率の高い混合物に対して解析精度を高めたeXDuble-inclusion モデルや、多相構造に対応したマルチ‐レベルの均質化手法も有しています。


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Composite with coated inclusions.
Illustration of the multi-level method (top figures) and the two-step method (bottom figures).

謝辞

以上の『等価介在物&均質化法の概要』解説は、
・Toshio Mura, Micromechanics of Defects in Solids, Second, Revised Edition Kluwer Academic Publishers, 1987.
・東北大学工学部土木工学科 構造強度学研究室 岩熊哲夫教授
・独立行政法人産業技術総合研究所 西澤 修氏
の資料をもとに作成しました。